近年、さまざまな自然災害がおこる日本において、備える力、気づく力を高めていきたい。そんな思いから7月12日、宇都宮市まちづくりセンターが主催で「福島スタディツアー」を実施しました。当日は大学生や高校生10名と引率スタッフの12名が集いました。
福島スタディーツアーに参加した若者たちは、現地での体験を通じて多様な感情や気づきを得ました。伝承館では、震災の記憶や原発事故の影響を肌で感じ、「静けさや祈りの背後に、痛ましい思いの積み重なりを感じた」「14年経っても人が戻らない現状に、福島の人々の“忘れないで”という叫びが伝わってきた」といった声がありました。一方で、被災地で再開されつつあるお祭りの展示を見て、「地域の資源や経験を発信し、復興につなげることの大切さを感じた」と前向きな意見も聞かれました。
語り部講話では、避難や差別の現実に触れ、「同じ福島県民なのに、避難先でいじめに遭った話が印象的だった」「放射線という目に見えない恐怖や、被災者への偏見の難しさを実感した」との感想が寄せられました。「震災について学んだ時点で、被災者の想いを受け止める責任が生まれる」と、自分ごととして考える姿勢も見られました。
浪江町立請戸小学校では、津波の被害や避難の様子を知り、「全員が無事避難できたことに教職員の判断力の大切さを感じた」「津波の威力や被害の大きさに言葉を失った」といった声がありました。バスでの地域散策では、「かつて人が住んでいた家が空き家になっている現実に寂しさを感じた」「放射線量の表示に恐怖を覚えた」との率直な感想もありました。
全体を通して、「日常や人とのつながりの大切さを実感した」「自分にできることを考えたい」「震災の記憶を風化させず、学びと支援を続けたい」といった前向きな思いが多く語られました。参加者一人ひとりが、被災地の現状や人々の思いに真摯に向き合い、自分自身の成長や今後の行動につなげていく姿勢が印象的でした。
